コラム
『やっぱり運用したほうがいいでしょうか？』
マイナス金利政策が発表されてから、こんな質問をよく受けます。
先日、家計診断でお会いしたＫさん（32才女性・夫35才・娘６才・４才）も、持っているお金を少しでも高い金利で預けようとしていた一人。ネット銀行などいろいろな銀行がキャンペーン定期を実施するたびに、10万円とか20万円といったお金を預けていたんですね。
でも、あちこちに預けすぎてログインＩＤがわからなくなってしまった。金額がそれほど大きくないし、すぐに使うわけじゃないからって、ログインＩＤとパスワードを雑に管理していたんですね。
『どうやってお金をおろせばよいのでしょうか』と泣きつかれたので、『ログインＩＤを再発行してもらえばいいだけですよ』とお伝えしましたが、その後Ｋさんが実際に再発行したかどうかはわかりません。
それほどあちこちに預けて、お金が貯まっているかというと、全部で200万円ぐらいしかない様子。結局、自分でいろいろ調べてやっているつもりが目先の得におどらされているだけで、総額としては、思ったほどふえていない。
高い金利の銀行を探して預けたということに満足して、ふだんの貯金がおろそかになり、さらに管理も雑だから、預けた銀行からおろすこともできなくて……、これは管理の失敗ですね」
銀行にふつうにおいていたらダメだとあわてて、あちこち動く人がいちばん損をするんです。とりあえず普通預金でも、私はいまのままでいいと思います。
普通預金のままではもったいなさすぎる！と思うなら、宝くじ付き定期預金やマイルがもらえる定期預金のような、「おまけ付きの預金」に目を向けるのもよいでしょう。
これだけ低いからといって、無計画に運用を始めると、もっと損するでしょう。運用がダメとはもちろん思っていませんが、マイナス金利だからといって運用するのはイコールではありません。月々の貯蓄がきちんとできていて、貯蓄の一部は運用に振り分けたほうがいいのかなというので、運用するのはまったく問題ありませんが、貯蓄をせずに、運用でふやそうというのは言語道断！
過去のいろいろな動きからわかるのは、みんながいっしょに動くときにいっしょに動く人は、ほとんど負けている。動くなら最初の動きをとらえて俊敏に動くか、完全に動き終わってから動くか。いずれにしても運用はブームでやるものではないということです」
※『サヨナラ、お金の不安』（畠中雅子著 主婦の友社刊 1200円＋税）より
畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。
取材・文／池田純子
【マイナス金利時代の預金対策】「少しでも有利に預けたい」は負けの始まり！
更新日：2017.10.28
頑張って得したつもりが、実はイマイチ…なことも
「『貯めたお金はどこに預ければいいでしょうか？』『やっぱり運用したほうがいいでしょうか？』
マイナス金利政策が発表されてから、こんな質問をよく受けます。
先日、家計診断でお会いしたＫさん（32才女性・夫35才・娘６才・４才）も、持っているお金を少しでも高い金利で預けようとしていた一人。ネット銀行などいろいろな銀行がキャンペーン定期を実施するたびに、10万円とか20万円といったお金を預けていたんですね。
でも、あちこちに預けすぎてログインＩＤがわからなくなってしまった。金額がそれほど大きくないし、すぐに使うわけじゃないからって、ログインＩＤとパスワードを雑に管理していたんですね。
『どうやってお金をおろせばよいのでしょうか』と泣きつかれたので、『ログインＩＤを再発行してもらえばいいだけですよ』とお伝えしましたが、その後Ｋさんが実際に再発行したかどうかはわかりません。
それほどあちこちに預けて、お金が貯まっているかというと、全部で200万円ぐらいしかない様子。結局、自分でいろいろ調べてやっているつもりが目先の得におどらされているだけで、総額としては、思ったほどふえていない。
高い金利の銀行を探して預けたということに満足して、ふだんの貯金がおろそかになり、さらに管理も雑だから、預けた銀行からおろすこともできなくて……、これは管理の失敗ですね」
マイナス金利状況下では、じっと待つのが勝ち
「もちろん、きちんと管理ができれば、少しでも金利の高い銀行に預けるにこしたことはありませんが、こういうマイナス金利の状況下では１回引き出すだけで、利息分ぐらい手数料をとられます。ですから、いまは急いで動かないほうがいい。銀行にふつうにおいていたらダメだとあわてて、あちこち動く人がいちばん損をするんです。とりあえず普通預金でも、私はいまのままでいいと思います。
普通預金のままではもったいなさすぎる！と思うなら、宝くじ付き定期預金やマイルがもらえる定期預金のような、「おまけ付きの預金」に目を向けるのもよいでしょう。
これだけ低いからといって、無計画に運用を始めると、もっと損するでしょう。運用がダメとはもちろん思っていませんが、マイナス金利だからといって運用するのはイコールではありません。月々の貯蓄がきちんとできていて、貯蓄の一部は運用に振り分けたほうがいいのかなというので、運用するのはまったく問題ありませんが、貯蓄をせずに、運用でふやそうというのは言語道断！
過去のいろいろな動きからわかるのは、みんながいっしょに動くときにいっしょに動く人は、ほとんど負けている。動くなら最初の動きをとらえて俊敏に動くか、完全に動き終わってから動くか。いずれにしても運用はブームでやるものではないということです」
※『サヨナラ、お金の不安』（畠中雅子著 主婦の友社刊 1200円＋税）より
畠中雅子／ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、『どっちがお得？定年後のお金』（高橋書店）など著書多数。
取材・文／池田純子
Profile畠中雅子
ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』（主婦の友社）、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』（KADOKAWA）など著書多数。
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